大規模修繕工事で多いトラブル

1.騒音

外壁の工事や足場を組む仮設工事の際に大きい音が発生します。

仮設工事では、組み立てと解体時に金属音がでます。また、足場を組み立てるときに足場の倒壊や変形を防ぐために壁つなぎを設置しますが、その際ドリルを使用するため電動工具等の音が発生します。

タイルの補修工事では、ひび割れの生じているタイルを電動カッターなどで撤去するときや、接着材を流し込む穴をあける際にドリルの音が響きます。

事前に移住者の方々に工事日や騒音が発生することを伝えておくことでトラブルを減らすことに繋がります。

2.臭気

大規模修繕工事では、各戸の玄関回りのサビや腐食の補修、外観の維持のために塗装工事を行いますが、塗料からシンナー臭が発生することがあるためトラブルになる事があります。

現在は塗料も大きく進化を遂げ、臭いが少なく安全性の高い塗料や、油性よりも臭いの少ない水性の塗料などもありますので、ご相談いただくのも一つの方法です。

臭気も騒音同様に事前に移住者の方々に伝えておくことで、工事の時間に外出することもできるためトラブルを防ぐことができます。

3.工事費用

大規模修繕工事では、仮設の足場を設置することで、新たに補修箇所が見つかり、工事が追加されることがあります。

【平成23年より10年毎に外壁の全面打診検査が完全義務化】

・タイル工事及び外壁修繕工事は、打診検査によりタイル及び外壁の浮きが見つかった場合や、交換の必要なタイル枚数及び外壁補修箇所が実数計算になります。

・配管の破損や劣化、シーリング(水の侵入を防ぐため隙間を埋める充填剤)の交換が必要な個所など

追加の工事費用に対しては、見積内容にどこまで含まれているのかを事前に確認し、追加工事が発生する場合には、その都度見積もりをもらうのもよいでしょう。

4.近隣住民

ビルやマンションの移住者の方々と工事内容の共有が出来ていたとしても、近隣住民へのご挨拶がおろそかになり、その結果トラブルになるケースもあります。

大規模修繕工事には、騒音・臭気・ホコリなどはつきもので、工事期間も長期にわたることもあり苦情が届くことがあります。

こういったトラブルを回避するためにには、工事前のご挨拶・お知らせをすることが大切です。

基本的に、近隣住民の方々へのごあいさつは施工会社が行いますが、気になる事などがある場合には事前にその点も伝えておくことでトラブルへの対策になります。

5.セキュリティ面

大規模修繕工事では、人間関係や工事に関するトラブルの他に防犯上のトラブルが発生することもあります。

仮設工事の足場から空き巣などが浸入することを防ぐため、足場の防犯対策を行っている施工業者に依頼する・監視カメラを設置してもらうなどの対策を講じることも大切です。

6.管理会社・施工会社

大規模修繕工事では、普段ビルやマンションのの管理をしてもらっていることから、管理業者に主導権を握られてしまっているケースも多いようです。

その結果、不必要な工事の提案を受け入れてしまったり、余分な手数料を支払ってしまうなど修繕積立金を必要以上に支払っている方も少なくありません。

建物のどこに問題があるのかをきちんと把握し、適正な工事を依頼しましょう。

有名な施工会社などは一見すると安心感がありますが、大手だから保証も工事も安心とは限りません。

材料などの原価自体は施工会社の違いで大きく変わることはありません。

金額は高いのに、3次下請け、4次下請けへと工事を投げ、目の行き届いていない大手施工会社も多く見られます。

・余分な工事内容ばかりが追加されていないか

・必要以上に見積もりの金額が高すぎないか

など、管理会社に丸投げするのではなく、実際に現場調査の結果を聞いてみることや、他社の見積もりも取り寄せてみることは適正価格を知る上でとても有効です。